「中国語ジャーナル」という雑誌について

2022年11月17日

私事で恐縮ですが、自分が中国語にはじめて接した90年代後半くらいは、インターネット黎明期で、YOUTUBEもなければ、オンライン授業もなく、今のような何でもありという感じではありませんでした。

なので、中国語を学習する場合、まだまだテキスト中心だった気がします。そんなとき、書店で目に止まったのが「中国語ジャーナル」という中国語学習者向けの月刊誌でした。(2000年12月創刊)

この「中国語ジャーナル」ですが、単に、中国語の教材というだけではなく、当時の中国というものを身近に感じられる生きた教材として、これまでの中文教材とは一線を画す雑誌であったと思います。

毎回、音楽やドラマなど各方面の中華圏の大物アーティストへのインタビュー記事をはじめ(人物专访)、現在、流行っている中国の音楽を紹介したり(歌詞で学ぼう!中国語、チャイナポップ)、かと思えば、時事ニュースを日本語訳つき(本月话题)で紹介するなど、毎回、硬軟取り混ぜた、盛りだくさんな内容だったと思います。

 

ゲストも、ジェイ・チョウ(周杰伦)など超大物から、アグネスチャン(陳美麗)、ビビアンスー(徐若瑄)など日本の芸能人みたいな人から、各界の専門家を紹介して

また、古代の漢詩を現代中国語で読み下すという実験的な試みや、あと、いつだったかは忘れましたが、ゲストの中国人のお二人が夫婦喧嘩を演じるなど、かなり攻めた内容のものまであり、「そこまでやるかーー」と当時、唸らされたものです。

  

あと、「中国語で人材になる」「検定試験にチャレンジ」「まる分かり!中国留学生活」など、実際に中国に行ったり、働いたりという事に関する、現実に根ざした情報も満載でした。

ちなみに、中国語ジャーナルは、2013年春で休刊 していたようです。まあ、ネットの発達に伴い、学習の主体が、動画を見るなどに移行しつつ有ることで、役目を終えたということなのかもしれませんが、

それでも、ネット情報だと玉石混交だし、しかも自分で探さなければならないので、こういうまとまったメディアがあるというのは、貴重だったと思いますね。(同じような雑誌で「聴く中国語」というのは、依然として存続しているようですが。)

あと、この時期の中国というのは、社会がダイナミックに変化していた時期でもあったので、やはり、一番、面白い時期だったのではないかと感じています。今の中国は、経済的に裕福になったこともあり、以前よりも普通になってしまって、荒削りな魅力がなくなったかなと思います。そういう意味でも、当時の熱気を伝える、この雑誌は結構、面白いかもしれません。

ブックオフやアマゾンとかで売っていたら、一度、読んでみられるのも面白いと思います。

あと、創刊当時の2000年前後というのは、日中関係が、今よりだいぶ良好だった頃で、中国へ留学する人も今より多かったのではないでしょうか。今年は日中国交正常化50周年ということですが、日中関係は冷え込む一方で、こちらに住んでいるものとしては、寂しく感じるところではあります。