広東の方言(粤・客家・閩南)について
自分は、現在、広東省深センに住んでいますが、広東省といっても、公の場では、普通話が話されていることが多く、深センの場合は、特に外省人が多いので、普通話でほぼ通じるといっても過言ではありません。
ただ、一歩、外に出てみると、いろいろな方言が飛び交っていることに気がつくことかと思います。広東省なので、もちろん広東語が多いですが、香港人が話しているような標準的な広東語ではなく、なまっていることもあります。
ちなみに、広東語と一口に言っても、いくつか系譜があり、以下のような方言地図を見ると、広東省は、粤(エツ/ユエ)と客家(ハッカ)、閩南(ミンナン)という、三つの言語がせめぎあう、三つ巴になっていることがわかるかと思います。
今回は、広東省の言語状況について、紹介してみます。(以下、旧ブログの内容を転載したものです。)
粤・客家・閩南 三つの言語がせめぎ合う広東
おおざっぱに言えば、中央の珠江デルタをはさんで、西側のオレンジ色の地域が粤(エツ/ユエ)、東側の緑色の地域が、客家(ハッカ)、両脇の赤い部分が、閩南(ミンナン)と呼ばれる地域となっています。
まあ、実際は、そんなはっきりと別れて住んでいるわけではないのでしょうが、大まかに言えば、そういうことです。
粤というのは、広東省全体を指す言葉になっていますが、粤語は、香港と広州という大都市を制しているだけあって、広東省の中では、共通語として機能しているようです。一般的に、広東語といえば、粤語のことです。
次に、客家ですが、広東省の東へ行けばいくほど、客家人の密度が多くなるようです。そして、その先には、客家の故郷として有名な、客家土楼(世界遺産、福建省永定県/写真)があります。
あと、閩南(ミンナン)は、広東省の潮州、汕頭(スワトウ)から福建省、さらには、台湾で話されている言葉で、地域によって、閩南語、福建語、台湾語と名前を換えて呼ばれているが、系統としては同じのようです。
つまり、何がいいたいかといえば、一口に広東人といっても、いろいろな人種がいると言うことなのです。
ちなみに、うちの会社にも広東人がいますが、客家人が半分くらいで、潮州人はたまにという感じでしょうか。もし、中国人の同僚に広東人がいたら、何系の広東人かを聞いてみれば、話のネタになるのではないでしょうか。
広東人は、北方の大陸人と比較すると、人あたりが柔らかく、中国人独特の、つっけんどんなところが無く、大陸性ではなく、あきらかに海洋性という感じがする人たちです。
特に、潮州付近の人は、日本人に近い感じで、日本人から、神経質で、完璧主義なところを除くと彼らになるような感じでしょうか・・・・。実際、潮州、あるいは台湾で話されている閩南語は、日本語に似ているとも言われ、そういう意味では、彼らは、もっとも日本人に近い中国人といえるのかもしれません。(ただ、女性は物腰がやわらかですが、男は逆に亭主関白にも程があるぞというような人が多いようです。)
ちなみに、この地図では、さらに細かい方言レベルまで調べられていて、同じ粤語でも、吴化片、高阳片・・・・というように、片(ピィエン/方言)の分布まで載っています。ちなみに、このレベルで、ようやく、日本の方言のレベルの程度とみていいでしょう。
あと、台湾ですが、閩が中心で、そこに客家が、混じっているようです。ちなみに、台湾の総統、蔡英文氏は、客家ですが、あまり客家語が得意ではないらしく、選挙前は客家の票源を獲得すべく、客家の集会に顔を出しては、客家語の練習をしているとアピールしていたようです。
自分のルーツである、客家の言葉を話せないというのは珍しいことではなく、同じく、客家の李登輝さんも、客家語を話せないらしいです。
台湾のTV番組より 【2015.07.18】搶攻客家票源 蔡英文秀客家話 -udn tv – YouTube
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません