「HSKは何級から受ければいいの ?」 HSK1級~6級、傾向と対策
「HSK」とは、漢語水平考試(hanyu shuiping kaoshi)の略称で、中国側が主催する中国語のテストのことです。中国や日本のみならず、全世界で実施されており、各種証明にも使えるため、近年、ますます重要視されています。英語で言えば、TOEIC等に近い感じだと思います。
レベルは、1級から6級までありますが、1級が一番やさしくて、6級が一番難しく、中国語検定とは逆になります。
(ちなみに、近年、6級の上に、7-9級というレベルが加わりました。7~9級はテスト内容は共通で点数によって級を分けるようです。)
そのHSKですが「HSKは、何級から受ければいいのか ?」という質問を受けることがあります。
基本的には、本人のお好きなようにすればいいと思っていますが、それでは答えになってないので、一般的な見解で言えば、3級くらいからでいいのではないかと思っています。
1級と2級については、初級のテキストをしっかりとやっていれば、だいたい受かってしまうので、特に、受けるほどの必要性はないかなと思っています。また、転職等で履歴書に書けるのは、3級くらいからだと思います。
もちろん、自分のモチベーションの維持にもつながるというのであれば、1級からでも、2級からでも受けてもいいでしょう。ただ、習いたての頃というのは、やる気満々なので、そこまで、テストで目標設定しなくとも、興味だけで、乗り切ってしまえるところは多いと思います。
以下、HSKのレベル別に、簡単に、傾向と対策について、ご紹介してみたいと思います。
HSK レベル別 傾向と対策
概略
試験の内容は、どのレベルでも「リスニング(听力 ting1 li4)」「読解(阅读 yue4 du2)」「作文(书写 shu1 xie3)」の、3つのパートに分かれています。(1-2級は「作文は無し」)
あと、設問はすべて中国語で行われますので、設問形式に予め、慣れておく必要があります。
すべてマーク式ですが、「ペーパー受検(纸笔)」と「ネット受検(网络)」の二通りあります。ペーパー受検は、センターテストのように、鉛筆でマークを塗りつぶすもので、ネット受検は試験会場のパソコンで行います。
1級から4級は、全体の60%取得で合格。5級と6級は、合否判定はなく、点数のみになります。(以前は、60%で合否判定していましたが、数年前からなくなりました。ちょっと残念ですね。)
実施は、ほぼ毎月、行っていますが、最近、コロナの影響で、かなり実施状況に影響が出ています。詳細については、以下のサイトで確認をしてください。
HSK1-2級(初級レベル)
特に、対策というほどのことは必要はないかと思います。テキストをしっかりやっていれば、難なくできるレベルです。
設問形式になれるという意味で、事前に、リスニングを中心に、何回か模擬テストをやればいいと思います。
1-2級は、「リスニング」「読解」のみで、「作文」はありません。
HSK3級(初級~中級)
3級は、いわゆる日常生活レベルで、大学の教養課程が終了したくらいとも言われています。このあたりから、やや難易度が上がり、合格できない人もぼつぼつ出てきます。
3級から「作文」が加わりますが、並べ替えをする程度ですので、まだ教科書を中心とするオーソドックスな学習で十分だと思います。
ただし、設問形式になれるために、模擬テストを十分にやっておいたほうがいいでしょう。
特に、日本人の場合、リスニングは弱い人が多いので、普段、目に頼った学習をしている人は、音だけで聞き取れる訓練をしたほうがいいと思います。
HSK4級(中級レベル) 日常~ビジネス初級
4級は、日常生活レベルから簡単なビジネスシーンでなら使えるというレベルで、仕事で中国語を使われる場合は、このあたりを最初の目標にしてみてはいかがでしょうか。
3級同様、「リスニング」「読解」「作文」の総合力が試されますが、求められるレベルがより高度になります。
例えば、リスニングの場合、4級からは設問を1回しか読んでくれませんので、より素早く、正確なリスニング力が求められます。ただ、読解、作文は、まだ時間的、知識的にも余裕があるはずです。
依然として教科書を中心とする学習でいいと思いますが、リスニングだけは、3級のとき以上に、問題集や模擬テスト等、十分にやっておいたほうがいいでしょう。
HSK5級(中高級レベル)
5級は、日常全般からニュースなどの時事的な中国語を読みこなしたり、ビジネスシーンでも、そこそこに使いこなせるレベルです。
このあたりから、知っておくべき、語彙数がかなり増え、専門知識的な単語も、かなり出てきますので、通常テキストとは別に、いわゆる試験対策的なものが必要になります。
読解は、文章量がかなり多くなり、時間が切迫してきますので、中国語の文章を読むのに慣れておく必要があります。ただし、全部の内容を理解する必要はなく、設問にあるキーワードを文章中から該当箇所からひろえれば、だいたい大丈夫な場合が多いです。(設問のひねりは、それほどありません)
あと、冒頭でも言ったように、5-6級は合否判定がありません。とりあえずは、以前の合格点である60%得点ができるように、目指しましょう。
HSK6級(中高級レベル)
6級は、HSKの一番上のレベルです。日常全般から時事ニュース、さらには、商談など対外的ビジネスシーンでも使えるレベルとなります。(ただし、会話については、個人差はありますが)
内容は、5級をさらに難しく、量を多くした感じで、中国人でも間違ってしまうような設問もあります。読解は、まともにやっていると、確実に時間が足りなくなってしましますので、より、効率よく、キーワードを探すことが必要になります。
作文は、10分間、文章を黙読させ、その後、要旨を中文で書かせるというもので、独特ですが、中国人の講師に添削してもらいながら、形式に慣れるよりほか無いでしょう。
6級は、聞き取れない、読み取れない単語も多く、分量も半端ではないので、特に読解などは、まともにやっていたら、とてもじゃないが、時間内で出来ないと思います。
しかし、多少、聞き取れない、わからないことがあっても、設問は、意外に単純で、ひねりはありませんので、全体的な要旨とキーワードさえわかれば、答えが出る場合が多いです。
要は、全部、分かる必要はないということです。それがわかれば、あの膨大な文章も、なんとなく、取り組みやすくなると思います。
しかも、5級同様、合否判定がありません。とりあえず、気楽に60%得点を目安に頑張りましょう。
HSK7-9級(高級)
現在、HSKは、7-9級(年2回)が実施されています。7~9級のテスト内容は共通で、点数によって級を分けるようです。
9級あたりだと、ほぼネイティブに近いレベルになるのかなと、想像します。実際に受ける人は、少ないとは思いますが、通訳など、中国語を用いた高度な職業に就く予定の人など、一定の需要があるかもしれません。
ちなみに、受験料はかなり高いようです。
あとがき
いかがでしたでしょうか。とりあえず、初級学習者は、HSK3級か4級を、目指してみてはいかがでしょうか。
HSKは近年、就労ビザのポイントとしても、考慮されますので、中国で駐在する予定のある方は、あらかじめ取得しておくと、いいと思います。
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